興行収入400億円が期待される『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
「無限列車編」は炎柱・煉獄杏寿郎のための映画といっても過言ではありません。
上弦の鬼には煉獄でさえ負けるのか
(引用元:鬼滅の刃8巻66話108ページ)
アニメ2期で大活躍する
音柱・宇髄天元も彼を
認めた発言をしています。
映画の中で特に印象的だったのは、下弦の壱・魘夢の血気術による「夢の世界」。
それぞれのキャラクターの個性が反映されていて、泣けるシーンも多かったように思います。
本記事では、煉獄杏寿郎の知られざる素顔に迫るため、彼の夢、「無意識領域」に投影された深層心理を考察します。
【関連記事】鬼滅の刃の煉獄杏寿郎さんの魅力が分からなかった。名言を聞くまでは
魘夢の血鬼術で煉獄が見た理想の夢の内容を考察
楽しそうだね
幸せな夢を見始めたな
(引用元:鬼滅の刃7巻55話68ページ)
理想の夢を見せる下弦の壱・魘夢(えんむ)とは
鬼舞辻無惨の直属の部下「十二鬼月」の内の一人であり、それぞれ上弦・下弦合わせて十二人いる中で「下弦の壱」の座を得ている鬼。
血鬼術によって人間を眠らせ、夢を見せることができます。
”魘夢”には、実際に
「不吉な夢」、「恐ろしい夢」と
言った意味もあります。
煉獄杏寿郎が見た夢はかつての記憶
魘夢が見せる夢には理想が反映されます。
『かまぼこ隊』はそれぞれ純粋に理想の夢を見ていました。
炭治郎:家族との日常を過ごす夢
善逸:禰豆子とデートする夢
伊之助:子分を従え電車と戦う夢
では、煉獄杏寿郎はどうでしょうか?
炎柱・煉獄杏寿郎が見ていた夢。
それは、彼が炎柱になったということを報告した日の記憶でした。
煉獄杏寿郎の父・煉獄槇寿郎も、彼と同じように元・炎柱。
普通であれば、子供が自分の背中を追って同じ位に就いたら喜ぶと思います。
しかし、煉獄親子の場合は事情が違いました。
柱になったから何だ
くだらん… どうでもいい
どうせ大したものにはなれないんだ 俺もお前も
(引用元:鬼滅の刃7巻55話59ページ)
実の父親であり、柱に
まで上り詰めた人から
言われた、辛辣な言葉。
これは、「幸せな夢」と言えるのでしょうか。
夢占いにみる煉獄杏寿郎の深層心理
家族である父・煉獄槇寿郎との関係はよいものとは言えません。
夢占いによれば、家族に嫌われる夢=「自立への欲求」とされています。
家族という存在は、基本的には絶対的な味方であり、守ってくれる存在です。
そんな家族の1人である父・煉獄槇寿郎から祝福してもらえなかったこの夢は、煉獄杏寿郎に自立のときを知らせているのだと推察できます。
つまり、煉獄杏寿郎が見ていた「幸せな夢」の正体は、「柱になれたことを父親に報告した夢」ではなく、自立し「兄として振る舞う自分の姿の夢」ではないでしょうか。
「父に囚われない自分」が
煉獄杏寿郎の「理想の姿」なの
ではないかと考えられます。
さらに言えば、自立した結果、「自分が父親に見せてほしかった姿」を弟の千寿郎に見せているとも言えそうです。
煉獄杏寿郎の「無意識領域」が持つ意味は激しさと幼さ
夢の外側には無意識の領域があり
無意識の領域には”精神の核”が存在していて
これを破壊されると持ち主は廃人になる
(引用元:鬼滅の刃7巻56話72ページ)
どうやら、人の意識は二重構造になっていて、より本人の理性から遠い場所に「無意識の領域」が存在するようです。
無意識領域は各キャラの個性が反映さる
かまぼこ隊の無意識領域は、それぞれの個性がそのまま反映された面白い描写です。
炭治郎:ウユニ塩湖のような広々とした爽やかな
空間善逸:真っ暗な闇
伊之助:狭く苦しい洞窟
善逸は眠っていても意識がある
ので、「そもそも無意識領域が無い
のでは?」とも言われています。
※参考「ウユニ塩湖」
煉獄杏寿郎の無意識領域
しかし、炎柱・煉獄杏寿郎の無意識領域はどうでしょうか。
変な”無意識領域”……
熱い…
燃えてる
(引用元:鬼滅の刃7巻56話74ページ)
おさげ髪の少女が言うように煉獄杏寿郎の無意識領域は以下のような状況。
- 床にはタイルのような硬いものが敷き詰められている
- 隙間から炎が吹き出している
- 特に、映画版では天気が良く、奇妙なほど明るい青空
地面から勢いよく吹き出す炎と
晴れ渡った穏やかな
青空の対比が際立ちます。
夢の世界で「火」は、次のような意味を持ちます。
- 激しい感情
- 情熱
- エネルギーの高まり
しかし、煉獄杏寿郎の夢の炎は
ただの火ではありません。
「消えない炎」です。
消えない炎の夢というのは、内なる情熱や真の願望をうまくコントロールできていないことを暗示します。
弟はもちろん、後輩の隊士たちからも非常に慕われていますが、年齢的にはまだ20歳。
そうした未熟な部分が、深層心理である無意識領域に表れているのだと思います。
煉獄が最後に見た母・瑠火(るか)の幻覚と記憶の夢
『強制昏倒催眠』の術を破り、眠り鬼・魘夢を倒した煉獄杏寿郎たち。
無限列車は横転して停車、あとは救助を待つのみです。
しかし、そこに上弦の参・猗窩座が襲来します。
上弦の参・猗窩座(あかざ)とは
鬼舞辻無惨の直属の部下「十二鬼月」一人。
強者との闘争を好む武闘派であり、徒手空拳で真っ向から敵に向かっていくような戦い方を得意としています。
お前も鬼にならないか?
魘夢を倒した後で手負いの
炭治郎たちの前に立ちはだかり、
煉獄杏寿郎を勧誘した鬼。
最後の母・瑠火(るか)の”夢”の意味
上弦の参・猗窩座との戦いの最中、激しい斬り合いの中で煉獄杏寿郎が見たもの。
それは、幼いころに母・瑠火(るか)と会話した記憶の夢でした。
なぜ自分が人よりも強く生まれたのかわかりますか
弱き人を助けるためです
生まれついて人よりも多くの才に恵まれた者は
その力を世のため人のために使わねばなりません
(引用元:鬼滅の刃8巻64話62ページ)
猗窩座との戦いに敗れたものの、
薄れゆく意識の中で母親の幻が見えた
シーンはとても感動的でしたよね。
そして、最後には母親である瑠火(るか)にこれまでの全てを肯定してもらえます。
立派に
できましたよ
(引用元:鬼滅の刃8巻66話98ページ)
このように親に褒められる夢は
口には出さなくとも高く
評価されていることを暗示します。
父親に愛されていないと感じていた煉獄杏寿郎も、母の夢を見ることでようやくそのしがらみから解放されたのだと思います。
未熟な部分があった彼が(母)親から認められ解放された、つまり”自立”できた瞬間です。
炭治郎たちを守るために戦い抜き、その果てに炎柱として煉獄杏寿郎が手にしたもの…
もしかすると、それは「自立」だったのではないでしょうか?
まとめ:煉獄杏寿郎の無意識領域から垣間見える素顔
煉獄杏寿郎の無意識領域を通して、そこに秘められた意味や彼の素顔を考察してきました。
表向きはしっかりしたように見えていた炎柱・煉獄杏寿郎。
しかし、自分が理想とする姿を映し出す「夢の中」、「無意識領域」は年齢相応のものでした。
- 「弟へ剣術を指導していた自分の姿の夢」=「父に囚われず、自立した自分の姿」を暗示
- 煉獄杏寿郎の「無意識領域」の炎が燃え続ける理由は、「激しい感情・情熱・エネルギーの高まりをうまくコントロールできていないこと」を表現
- 「母・瑠火(るか)に褒められた”夢”」=「親とのしがらみから解放されたこと」を表現
鬼殺隊最強の中の一人・炎柱に
まで上り詰めていながらも、本心では
自立したいと望んでいたのです。
最終的には、魘夢(えんむ)から乗客全員を守り抜き、誰一人死なせることなく、猗窩座を退けた煉獄杏寿郎。
その過程を経て、”自立”できたというのが本記事の考察結果です。
【関連記事】鬼滅の刃アニメ2期はいつから?どこまで?遊郭編では宇髄天元が大活躍!
【関連記事】鬼滅の刃アニメ3期はいつから?原作のどこまで?【最終章・無限城編】
コメント